プロジェクト名:客家村環境モニタリングシステム
実施地域:中国・広東省河源市
対象分野:観光・エネルギー
プロジェクトパートナー:
1979年に始まった改革開放政策により、中国経済は40年以上にわたって飛躍的な成長を遂げました。国家統計局のデータによれば、この期間に中国は世界第2位の経済大国へと成長しました。しかし、急速な経済発展は深刻な環境汚染という代償を伴いました。大気汚染対策は、第14次五カ年計画(2021-2025年)における中国政府の最重要課題の一つとなっています。
なかでも農村地域の環境問題は深刻化の一途をたどっています。ICT技術を活用した環境改善策の導入により、AIとIIoT(産業用IoT)技術を組み合わせて農村地域を再生可能エネルギーの拠点として機能させることで、持続可能な発展への道筋をつけることができます。
解決すべき課題
観光産業の発展を通じて、どのように農村経済を活性化させるか。
ソリューション
2018年、中国政府は農村振興戦略を発表しました。この戦略に基づき、2019年にSeeedは万科物業と協力し、広東省河源市の客家村にSenseCAP LoRaWANセンサーを導入しました。環境データの継続的な収集により、観光業の強化と環境改善を両立させ、地域住民の生活の質向上を図っています。
図1. 河源市における客家村の位置
万科集団は、不動産開発を中心に商業、物流など多岐にわたる事業を展開する中国の大手企業グループです。持続可能な開発と地域コミュニティの発展に注力しています。
この客家村には、400年以上の歴史を持つ伝統的な客家建築群が今も残されています。客家(はっか)とは、中国の漢民族の一支流で、独自の言語と文化を持つ民族集団です。しかし近年、都市化の波により若年層の都市部への流出が続き、人口減少と伝統文化の継承が大きな課題となっていました。
こうした課題に対応するため、農村活性化と観光産業の強化が急務となりました。万科物業との協力により、IoTベースの環境モニタリングシステムを導入。村の環境品質と観光資源としての価値を高め、持続可能な農村発展モデルの構築を進めています。
図2. 客家村の風景
万科物業は、管理エリア全体の環境品質を継続的にモニタリングする包括的なシステムを構築しました。SenseCAPセンサーによるリアルタイムデータ収集により、農村地域の環境改善と持続可能な発展を技術面から支えています。
図3. 客家村に設置されたSenseCAPシステム
導入されたSenseCAPシステムは、以下の環境パラメータを24時間体制でモニタリングしています:
- 気温
- 湿度
- CO2濃度
- PM2.5(微小粒子状物質)
- PM10(浮遊粒子状物質)
- 照度
- 騒音レベル
収集されたデータは、環境品質の改善と観光業の発展に活用されています。さらに、再生可能エネルギーシステムの最適化にも応用され、村全体のエネルギー効率向上に貢献しています。
達成されたSDGs目標
本プロジェクトは、以下の5つのSDGs目標達成に貢献しています:
- SDG 1(貧困をなくそう):観光産業の発展による地域経済の活性化と新たな雇用機会の創出
- SDG 8(働きがいも経済成長も):持続可能な観光業を通じた包摂的な経済成長の促進
- SDG 9(産業と技術革新の基盤をつくろう):IoT技術を活用した革新的な農村発展モデルの構築
- SDG 11(住み続けられるまちづくりを):環境モニタリングによる住環境の継続的な改善
- SDG 17(パートナーシップで目標を達成しよう):SeeedとVankeの企業間連携による社会課題の解決
客家村のプロジェクトは、環境保護と経済発展の両立を実現し、持続可能な農村発展の新たなモデルケースとして注目を集めています。SenseCAP IIoTソリューションが提供する技術基盤により、データに基づく意思決定が可能となり、地域の持続的な発展を支えています。